浮気な恋人
いまの、電話のいきさつが、頭をぐるぐる回る。


私は、すべてを理解した。


大地は――、もしかしたら、二股の常習犯なのだ。


1回目に、電話が切れたのも、あれは、大地本人が切ったに違いない。


それから、取り次いでくれた人の、うす笑いの意味。


きっと、彼らの間では、こんな会話が繰りひろげられていたに違いない。


「ミクって子から、電話だよ」

「いないって言って」

「またかよ。この前もその手、使ったじゃん。また何度もかけてくるぜ? どうすんの」

「仕方ないなー…」

「大地、おまえ、××ちゃんとか◎◎ちゃんのときと、まったく同じことやってるな。いい加減にしとけよ。へへっ」

「うるせー」


ああ、頭のぐるぐるが止まらない。
悲しさよりも、大地や○○寮の男子に、自分がバカにされ、憐れまれる存在になっていたということが、第2波のショックだった。


恥ずかしい!
私がやっていたことは、彼らにとっては、ふられてもふられても電話してくる、ストーカー女だったなんて。


でも、それならば、なぜ、大地は、私にはっきり「その気がなくなったから」と、言ってくれなかったんだろう。


もし、そう言ってくれてたなら、私は絶対、大地にメールを送りまくったり、電話しまくったりしなかった。


私は、悲しさではなく、怒りと情けなさで、涙が出てきた。


こんなの、失恋だなんて、呼びたくない。
だまされてたんだ、私。…
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