アダルトチルドレン
翌日、誠は朝から仕事だった為、杏里は朝早く誠の家を出た…

まだ数時間前の出来事の余韻に浸りながら、電車に揺られ帰宅した…

それから、仕事をしてても、何をしてても携帯が気になって仕方なかった。

誠から連絡が来ないか?といつも確認していた…

だけど、鳴るのは仕事の客ばかり…。

毎日誠の連絡を待ち続ける日々…

勝手に着信音なんかも特別に変えちゃったりして…

待たずにこちらから連絡すれば良いが、それは出来なかった…。

誠からあたしを必要としてほしかったから…

もどかしい気持ちを抱えながら毎日過ごしていた…

ある日の夕方いつものように目を覚まし、化粧をしていると、
「トゥルルー♪」


誠のメールの着信音が鳴った…
すかさずメールを開いた。
「今晩、なにしてる?」
杏里は舞い上がった…

まだ何も誘われてもないのに、誠に会えると思う気持ちで一杯で、先に職場に具合が悪いから休むと連絡をした…

そして、誠に
「なにもないよー」 と返信した…

杏里は手際よく準備を始めた…
髪を巻き、少しでも色気のある服に着替え、香水をふりかけた…


けれども、待てども、まてども誠から返信がない…

そして、ようやく連絡がきたのが二時間後…

「少し時間が空くから会わないかな?」

もちろん杏里は、
「わかった…じやあ新宿で待ち合わせで…」とメールをし会う約束をした…

普段は滅多に使わないタクシーを家まで呼び、急いで待ち合わせ場所に向かった…


向かっている間何度グロスを塗り直しただろう…

いつでも綺麗な自分を見ていてほしかった…




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