アダルトチルドレン
完治のふり
結局治りきったわけではないけど、食べる事に困らなくなったし、普通に生活していた…


生まれて初めて、
「死にたい」とまで思った時もあったのに…

たまたま仕事をいつも通りしていたら、一人の独身男性と出会った…

キャバクラという擬似恋愛の場で本気で杏里を好きになってくれた…

悪い人ではないけど、杏里は仕事は仕事と割り切っていたし、気持ちを受け止められなかった…

今までの客はだいたい、金銭的にも余裕があって、遊び方を知っている人が多かったので少しやっかいだった…


来る度、手紙をくれたり、杏里が具合が悪ければ、
「喋らないでいいよ…」と言ってくれて、優しい人だった…

人間的には好きだけど、やっぱり違う…

だけど、毎回、杏里がいる間は店にいてくれる…

イコール、杏里の仕事の成果が伸びていく…

杏里はまた仕事に依存し始めていた…

一旦、伸ばした成果が落ちるのは、恥ずかしい…

多少無理をしてでも、もう話す事なんてないほどの時間をその客といるのに、場を和ませ、常に頭を働かせ、相手が癒される空間を作った…

あれだけ、もう依存する事をしたくない…
と思っていたのに、人は知らぬ間にまた深みにはまってしまうんだな-。

この時、杏里はまた仕事に依存していってる自分に気付かなかった…


だけど、毎回、毎回6時間も7時間も喋り倒して、この仕事事態には疲れていた…

「いつかは水商売からあがりたいな-」

そんな風にはいつも思っていた…

無理を重ねるので、風邪をひいたり体調が悪い事が増えた…

だけど、成果を落とすわけにはいけないので、無理をして働いていた…


会う度常連の客にも、
「痩せた…?」
と言われる事が増えた…

「そんなことないよ…めっちゃ食べてお腹やばいよ…」
なんて言いながら愛想笑いしてた…

仕事に集中してた杏里は、もともと生活してた時間帯も人と真逆だったし、家族の事や周りの事が見えてなかった…


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