アダルトチルドレン

時間帯が合わないので、同じ家に住んでいても二日ぶりに母親にあったりしていた…

たまたま仕事に行く前に、母親がポロッと言った言葉で杏里は泣きそうになる自分を抑えた…


｢私…癌みたい…｣
返す言葉が見つからなかった…

頭が真っ白になり、安易に｢絶対大丈夫だよ…｣だとしか杏里は言えず、仕事に向かう車の中で涙が止まらなかった…

｢なんで…?｣
｢もうあたしにはお母さんしかいないのに…｣


｢死んでしまったら…｣
｢病院代はどうするんだ?｣
｢弟の学費は?｣
色んな事が短時間で頭を巡り、１番の母親の気持ちを考えると声を出して泣く事しか出来なかった…

母親の前では絶対泣けない…

父が死んでから少したった時、母親が言ってた…
｢あの時初めて、喉から血がでる思いをしたよ…｣


｢なんであたしっていつもこんな苦労ばっかなんだろ…｣

そんな言葉を思いだし、余計に辛くなった…

外は暗いし、雨まで降ってきてワイパーを回しながら杏里の涙を隠してくれた。

店に到着した時には、目が真っ赤で、
皆に、
｢どうしたの?｣
と言われたけど、一言話せばまた涙が止まらなくなりそうだったので、何も話さなかった…


とりあえず、早く家に帰りかった…

だから、仕事をしていても、客の話なんて上の空…


｢あたし、体売って母親を助けるようかな-｣

そんな事を考えながら仕事をしていた…


ほんと自分でも感覚が究極な白黒思考だと思う…


｢あたしはどうでもいいんだよ-。｣

また自分を大切に出来ない杏里がでてきた…