アダルトチルドレン
こんな調子で仕事になる訳もなく早退した…。


「あたしの体どうしちゃったんだろ…」

帰り際付き添ってくれたお客さんが言った一言。

「杏里、パニック障害じゃない…?」

パニック障害なんて聞いた事はあっても検討もつかない…。

すぐさま、帰宅しパソコンを開いた…


確かに、症状は一致してるものばかり…

体に異常がある訳でもないし…。

それから、いつまたあの発作がくるか怖くて仕事にも行けなくなった…。

ここから、あたしの長い戦いがはじまった…。

救急車行きになる事態になるのを恐れて、人が沢山いる場所に行けなくなった…。

特に飲食店…。
あちらこちらから客の喋り声が雑音にしか聞こえず、足がすくみその場にいられない。

人の車に乗ってても、落ち着かず遠出は出来ないし、そこでも足がすくむ。

何処へいっても、死んでしまいそうな恐怖感が消えず、いてもたってもいられず、自分が行ける範囲の精神科に電話をかけまくった。


だけど、なかなか予約がとれず、ようやく予約のとれた地元の医者にかかった…。

入った途端緊張がはしった…。
いかにも、言い方は悪いが目が据わってしまってる人や奇抜な格好をして少しおかしそうな人ばかり…。

あたしも、その中の一人かと思うと絶望的だった。

とりあえず初診なので、三枚にもわたる問診表を書いた…。

それを提出し待ってる間も震えは止まらず、もう息が吸えなくなりそうで、視界がどんどん狭くなっていく。

受付の人に呼ばれるまで「横になっていいですか?」
といって長椅子に横になった…。

看護師の人が慌てて、毛布をもってきて、杏里にかけてくれた…。

何が悲しいのか何が苦しいのかわからないけど、涙がとまらずワンワン犬のようにないた…。


ようやく呼ばれ、診察室に入る頃には顔はグシャグシャ…。

医者は若くて、眼鏡をかけた冴えない感じの人だった…。

とりあえずの杏里の問診表をみて、質問をしてくる。
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