今、会いに行きます
悩み
タバコ臭い。
わたしは屋上へは行かなかった。
亮と会ってしまうかもしれないから。
女たちが踊り狂い、男女がイチャつく中、私はめーるを打っていた。
「おい咲!来てるんだったら声かけろよ~」
「めーる返してから言おうと思って。ごめんね」
この人は荒木竜也。このたまり場のてっぺん。
誰もが恐れる人らしい。
「また髪色戻したの?まぁ咲らしいのは黒だけどな」
「ありがと。竜也も黒じゃん」
「まぁな、気分的にだよ。気分的」
「ふぅーん」
亮はやっぱり黒だよね。
イケメンだし、身長高いし、黒が一番合う。
「あ、咲!男のこと考えてるだろ」
は!?竜也って考えてることわかるの!?
「ぇ、怖いこと言わないで」
私が立ち上がると、壁に押してきた。
「なぁ、咲…。久しぶりに「いや」」
竜也の言葉をさえぎって帰ろうとすると、首に手を回して、グッと力を込められた。
「苦しいけど…っ!」
「やらせろよ」
しょうがない、と思ったとき、ふっと亮の顔が浮かんだ。
私は残ってる力を振り絞って竜也を突き飛ばした。
「竜也には彼女の優香ちゃんがいるでしょ!それにうち、今そんな気分じゃないの」
竜也はチッと舌打ちして優香ちゃんのところへと行った。
…それにしても。
こんな時にも亮の顔が出てくるなんて…。