兄と私と弟と。
は‥?
嘘だろ
散らばった灰皿の破片
無数に転がる零音の薬のビン
包丁を手にした零音
やつれて
目が赤くはれてしまっていた‥‥‥零音
「なに、これ‥?」
零音自身もハッと驚いたように、固まっていた。
「っ‥‥」
俺が居ない間
零音になにがあったんだ?
徐々に近寄る
「やだ…来ないで」
かすれた声
いまにも消えてしまいそうな震えた声
俺、どうすればいいんだ?
また一歩近づく
「来ないで!!!!!!!‥‥‥来たら、死ぬよ」
零音は包丁を掴み、自分の方に向ける。
それと同時に、かすかに笑っていた。
「‥‥っこのバカが」
走って零音の方に向かう。
包丁をバッと取り上げると、零音の頬からは赤い血が流れ出した。
「あ、ちょ、ゴメン‥」
「は、は‥大丈夫」
明らかに大丈夫じゃねーじゃん
冷たくなっていた零音の身体を抱き締める。
壊れ物を触るかのような手つきで頬にふれた。
最後に会った日より
痩せていて、
きれいだった瞳が
死んでいて、
唇も切れていた。