兄と私と弟と。
昨日の記憶が完全に戻ると、情けなさや悲しさが一気に溢れる。
弟にあんな姿見られたなんて‥‥‥
私、ほんとダメじゃん‥
「零音、よく寝れた?」
コクリと頷く。
すると楓斗が口角を上げたのが、薄暗いが少しだけ分かった。
それに私も微笑み返す。
「昨日、ゴメン‥」
「あぁ、全然‥‥」
声がうまく出ない。
「あ、のね‥‥」
春美チャンのコト
言わなくちゃ‥!!
「湯川――‥‥」
言いかけた瞬間
楓斗の人差し指が私の唇に当たる。
「なにも言うな」
「‥‥‥?」
楓斗は自分の胸に
私の顔を押し当てて
抱き締めてくれた。
「もう‥なにも言わなくていいから‥な?」
また涙が伝う。
これで何度目の涙なのかな?