兄と私と弟と。






「こっちに来てからそいつのことばっか考えてる零音、見てられねぇよ」



真の瞳が揺れた気がした。

ずっと私のコト‥見てたの?

真には‥わかってたの?




「だから、そいつんとこに‥‥戻れ。ぜってぇ」



真の優しさが嬉しい。


絶対って言葉が、私の身体に響き、こだまする。



絶対‥楓斗に‥‥。




「早く準備しとけ。‥‥元気でな‥‥‥」




頭の上に真の手が乗る。


その手は頭をポンポンと叩くと、耳元で真は囁いた。




私はなにも言えないまま真が部屋を出て行くのを見ていた。





真‥‥‥。



涙がこみ上げてくる


でももう‥泣いちゃ駄目


私はもう、高校生だ。
















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