それぞれの一週間【完】
「っ…、帰る!」
「ちょ、愛、待って。」
「来んな…ッ!」
送るよ、と一緒に席を立とうとする波瑠に少しばかり金切り声で叫んでしまう。
吃驚したという顔で動きをピタリと止める波瑠。ついでに私たち2人の間の空気も一時停止中。
「愛菜?」
「っ、」
酷く優しすぎる声が私の名前をこの沈黙の空気に刻む。いつもは省略して、゙愛゙なのに。どうしてこんな時に限っで愛菜゙って呼ぶの?
鈍器で頭を強く殴られたかのような衝撃が私を襲う。ショックとかじゃなくて、多分これは嬉の感情から。
「…あんた、やっぱり馬鹿。大馬鹿野郎よ。」
「愛菜、」
「私の気持ちなんて……、やっぱり、いいや。」