それぞれの一週間【完】
ゆらりと振り返って、思いっきりその端正な顔を睨んでやる。
「さよーなら。」
「えっ、待てって愛!」
「さよーならさよーならもう永遠にさよーなら。」
「…。」
一瞬手首にこもる力が抜けた瞬間、その手を振り払い私は一人暮らしをするアパートへと急ぎ足で駆け出した。いや、正確には逃げ出したのだが。
――――私がアパートへ着く頃には、着ていた衣服はビショビショに濡れ、髪からは水滴がつたい流れ落ちる。
乱れる呼吸を整えようと数回小さく深呼吸を繰り返した時、ズボンのポケットの中で小さな振動がおきた。
振動源は二つ折りの白い携帯。開いてディスプレイを確認すれば、予想通りの相手の名前。