それぞれの一週間【完】
それなのに、波瑠が海美ちゃんのことしか話さないことに妬いて。
自分に何も言ってくれないことに怒って。なに悲劇のヒロイン気取ってるんだって話しだ。
その時。
ピンポーン、と。
今の私の心には猛烈に不似合いな、軽快なチャイム音が部屋に響き渡る。
誰だ…?ごしごしと手の甲で涙を拭うと、玄関まで向かう。この日に限って、ドア穴から来客を確認することなく、ドアを開けた。
「…いた。」
「波、瑠…?」
開け放ったドア。開いたドアを掴んで、肩で息をしながら私を見下ろすその姿は間違いなく波瑠。
「愛、」
「っ…帰って!」
「愛、聞いて。」
「いや…、」
「聞け。」
「…、」
波瑠は聞いたことないような低い声で命令口調だ。誰だよこの男。