それぞれの一週間【完】
-悪戯ごころ-
「結城くん、明日何の日か知ってる?」
休日、和やかな空気が流れる部屋で唐突な質問が俺へと向けられる。
その声のする方を辿っていけば、ソファに座る俺へ爛々とした瞳で見つめる小さな後ろ姿。
「…さあ。知らない。」
そう答えた俺に返ってくるのは、しばしの沈黙とワンオクターブ声音が下がった「…そっか」という返事。
俺も無慈悲なもんだ。
本当は――、
「澪、こっち来て。」
キッチンへと向かっていたその後ろ姿を呼び止めると、振り返った彼女は小首を傾げ。
「え、珈琲…」
ぽつり、呟く。
そんなんいいからとぶっきらぼうに言えば、少し怪訝な瞳が返ってきた。当然である。
なんせ、珈琲を淹れて欲しいと頼んだのは俺なんだから。
半年前から夫婦となった澪は、肩までない髪を耳にかけ。チラッとターコイズの石が付いたピアスを覗かせる。
ソファに座る俺の前まで歩み寄ると、微笑を浮かべた。