それぞれの一週間【完】



私の突拍子のない問い掛けに、一瞬きょとんとした顔をする、…犬を連れている男性の名前ば三吉さん゙という。



三吉さんは、直ぐにクスリと微笑むと。


「好き、ですよ。」

「…そうですか。」



――――…胸がドキリとした。

三吉さんは、私の質問に対する答えとして「好き」と言ったのに。何だか、あの美麗な笑みが私に向けられた瞬間。


私を「好き」と言ってくれたみたいに感じて…。はあ、なんて、自信過剰じみた考えだろうか。



「芦屋さん?」

と。

ぼーっとしていた私の脳内を一気に覚醒させるような、ロートーンが耳に響く。


三吉さんが呼んだ名は、私のものである。

大袈裟に反応してしまった私は、恥ずかしくて俯いてしまう。恥ずかしい。


クスリ、再びそんな音が聞こえた気がした。



「芦屋さん、どうかしました?」

「あ、えっと…、」


ガサリ。太股の辺りに何かがぶつかる音。


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