それぞれの一週間【完】
それにさえ過剰反応。ドキリ、肩を上げた私はそろりそろりと視線を太股へと移動させる。
そこにあるのは、紙袋。持ち紐は私がしっかりと握っている。ああ、胸、壊れるんじゃないか。
それくらい、今私の心臓は暴れていた。
「あ、の…宜しければ、どうぞ。」
そう言って、私は紙袋を柵から身を乗り出すようになりながら三吉さんの方へと差し出す。
それに、三吉さんも手を伸ばしてくれるが、後少しの距離が届かない。もどかしさが、胸を占領した。
と。
三吉さんは愛犬に「待て」と命令すると、ひょいっとコンクリート塀を乗り越えて、柵の前まで歩み寄って来たのだ。
初めて見る、至近距離での三吉さんの顔。
…美麗、妖艶、綺麗、
どんな言葉が合うだろう。取り敢えず柵越しにも思っていたけど、端正、には変わりない。
三吉さんは、私が差し出したままになっている紙袋を受け取り。
「ありがとうございます。」