それぞれの一週間【完】
「い、いえ…!」
わざわざ取りに来て頂いて、と小さく頭を下げる。
三吉さんは紙袋を覗き、何が入っているのか問いかけてきた。
それに慌てて、マフィンですと答えた私を見上げ三吉さんはゆるりと微笑む。
「わざわざ゙俺の為゙に?」
「え…ッ!?」
…三吉さん、その問いに対する答えは言えませんよ。
苦笑いを浮かべ視線を落とした私の耳に届いたのは、クツクツと、喉を転がすような音。
視線を上げた先にあるのはやはり、笑みを浮かべた三吉さんの顔。
「俺、本当は、この道散歩コースじゃないんです。」
「……はい…?」
「不純な動機、なんですよ。」
あなたに会いたくて、ここを通るんです。
三吉さんは、少し照れ臭そうに。でも真っ直ぐ私を見ながらそう呟いた。
急激な体温の上昇。頬が火を噴いたように熱くなる。目は見開いたままで、驚きで声が出ない。