それぞれの一週間【完】



▼ 舞花&直哉


「直哉、起きてー。」

「……。」

「(何でこんな日までコイツは…!)」


規則正しい寝息が聞こえ、起きて欲しいけどまあいっかみたいな気持ちもある。


「…放置しよ。」

「そうすんの?」

「っわ、直哉!…起きたの?」

「お前が起こしたんだろうが。」

「……だって。」

「ま、何でも良いけどさ。後ろ手で持ってるソレ、なんデスカ?」

「……性悪。」

「そりゃどうも。」



急に声をかけられたせいで咄嗟に隠してしまったのはチョコレート。

頬の紅潮を隠すように素っ気なく差し出せば。


口角を緩めた直哉の頬も少し赤かったから、少し笑ってしまった。




▼ 遠藤&倉橋


「遠藤遠藤、豌豆ー!」

「最後のあの緑の豆だよね。は?嘗めてんの?マジで消えろうざい。」

「じ、冗談じゃん…。」

「じゃなかったら死活問題だし。倉橋今頃あの世だからね。まあそれでもいいか。」

「(……あれ、俺この人の彼氏だよね?)」

「きもい目でこっち見ないで馬鹿。」

「なんか最近毒舌レベルアップしてない!ねえ、俺なんかした!?」

「あんたの頭がいっつもどうにかしてんのよ。一々デカい声出すな鬱陶しい。」

「……も、嫌…、」



放課後の教室。俺らだけしかいないのに、冷たい遠藤。ふらふらと教室を出て行こうとすれば、背中に何かぶつけられた。痛い!

恨めしげに振り返り、足下に転がるそれを拾い上げ俺は遠藤へ駆け寄った。


「…え、」

「……。」

「え、ええええ遠藤!ここここれ!コレ!!!」

「五月蠅い。」

「チョコっすよね!?」

「……、」



ああ、もう。どんだけツンデレなのこのこ。

ギュウッと抱き締めればそっと遠藤も俺の背中に腕を回した。まあ、さすがにキスは怒られたけど。




< 149 / 151 >

この作品をシェア

pagetop