それぞれの一週間【完】
▼ 舞花&直哉
「直哉、起きてー。」
「……。」
「(何でこんな日までコイツは…!)」
規則正しい寝息が聞こえ、起きて欲しいけどまあいっかみたいな気持ちもある。
「…放置しよ。」
「そうすんの?」
「っわ、直哉!…起きたの?」
「お前が起こしたんだろうが。」
「……だって。」
「ま、何でも良いけどさ。後ろ手で持ってるソレ、なんデスカ?」
「……性悪。」
「そりゃどうも。」
急に声をかけられたせいで咄嗟に隠してしまったのはチョコレート。
頬の紅潮を隠すように素っ気なく差し出せば。
口角を緩めた直哉の頬も少し赤かったから、少し笑ってしまった。
▼ 遠藤&倉橋
「遠藤遠藤、豌豆ー!」
「最後のあの緑の豆だよね。は?嘗めてんの?マジで消えろうざい。」
「じ、冗談じゃん…。」
「じゃなかったら死活問題だし。倉橋今頃あの世だからね。まあそれでもいいか。」
「(……あれ、俺この人の彼氏だよね?)」
「きもい目でこっち見ないで馬鹿。」
「なんか最近毒舌レベルアップしてない!ねえ、俺なんかした!?」
「あんたの頭がいっつもどうにかしてんのよ。一々デカい声出すな鬱陶しい。」
「……も、嫌…、」
放課後の教室。俺らだけしかいないのに、冷たい遠藤。ふらふらと教室を出て行こうとすれば、背中に何かぶつけられた。痛い!
恨めしげに振り返り、足下に転がるそれを拾い上げ俺は遠藤へ駆け寄った。
「…え、」
「……。」
「え、ええええ遠藤!ここここれ!コレ!!!」
「五月蠅い。」
「チョコっすよね!?」
「……、」
ああ、もう。どんだけツンデレなのこのこ。
ギュウッと抱き締めればそっと遠藤も俺の背中に腕を回した。まあ、さすがにキスは怒られたけど。