それぞれの一週間【完】
レモンティーをひっ掴むと、健ちゃんの教室がある二階へ駆け上がる。
自販機には健ちゃんの教室の方が近いはずだけど。面倒くさがりな我が幼なじみは〈いつもの〉とつけてメールをよこす。
お願いされたってことが嬉しくて、ついつい買いに走ってしまう。
まあ、あれだ。うん。
゙惚れた弱味゙というやつだろう。
健ちゃんの教室の前まで着くときにはもう息切れ。胸に手を当てて数回深呼吸。
「健ちゃーん。」
ガヤガヤと騒がしい教室の空気に私の声は溶け込んでしまい、周りの人達は気づく訳もない。
なのに……、
「おー梨奈。」
「(コイツには必ず聞こえてるんだよな。)」
こちらに振り向いて優しく笑うと近寄ってくる幼なじみ。
私の目の前まで来ると、身長差は歴然。
「健ちゃん、また身長伸びた?」
「ん?多分…183くらいか。」
成長期の男子は凄まじい…!私だって160はあるし大きい方だと思うのに。