それぞれの一週間【完】
健ちゃんはにやりと意地悪く私を見下ろして笑うと、頭をペンペンと叩く。
「梨奈はちっせーなあ。」
「何よ!健ちゃんなんて小学校6年生の夏まで私より小さかったくせに!」
「いつの話してんだよ。男ナメたらいけないよー。」
さらに挑発的に笑った健ちゃんを睨み上げるが、効果はさらさらない。はあっと溜め息を吐き出して、手に持っていたそれを差し出す。
「いつもの。」
「ん?おお。サンキュー。」
缶からは、外の暑さへの急激な変化で水滴が垂れて。それを健ちゃんは受け取ると、冷たいと頬に当てた。
その姿にも胸が高鳴って、頬が紅色に染まる。
「じ、じゃあ…!」
顔が真っ赤なのとか見られない内にその場を立ち去ろうとした私の腕を掴む大きな手。
「おつかれさん。」
その手のひらに何か掴まされ、健ちゃんはレモンティーを掲げてお礼を告げると、友達の輪の中へと帰って行った。
後ろ姿を見送って、手のひらの中にあるものを見て笑ってしまう。