それぞれの一週間【完】
飴が一つ。ただの飴だと言ってしまえば簡単だけど。それは小さい頃から私の好きな味。
いちご味のそれ。小さな包装を開けて口に放り込んだ。
「…美味しい。」
自然に緩む頬を引き締めることは今の私には無理。そのまま自分の教室まで歩いていると。
ハッと思い出す。
実は今日。健ちゃんを起こしに行く前の我が家にて。
母親に健ちゃんの家のパパママ留守だから、ウチに一緒に帰れと言われていたのだ。
勿論それは幼なじみは知らない。私が伝えなければいけない訳であり。
急いで健ちゃんの教室へUターン。
ひょっこりとドアから顔を覗かせて。その焦げ茶をかきあげる後ろ姿に声をかけようと、した。
「つーか。お前の幼なじみ本当にお人好しだなー。」
「それに漬け込んで。健くんも悪よのう。」
…………私、のことだ。
健ちゃんの「うるさい」とか言ってる声は聞こえるんだけど。
お友達の人達は言葉を紡ぐことをやめない。