それぞれの一週間【完】


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「健帰ろうぜー。」

「ああ…っと。悪い、多分教室に携帯忘れた。先帰って。」


こういう日に限って部活の時間は延びるし携帯忘れるし…。

苛立ちを鎮めるように溜め息を吐き出して、部室から校舎へ走る。



二階まで駆け上がり教室へ入ると、自分の机の中にあった携帯をひっ掴みズボンのポケットへ突っ込む。

――梨奈のとこに行かなくちゃ。


下駄箱へ向かってまた走り出して、一階に下りた俺の目に見覚えのある後ろ姿。

毎週月曜日。俺の部屋まで俺のために俺を起こしに来てくれる愛しい子。



委員会のため先に学校へ行ってしまう後ろ姿とまったく同じで。

今は何だかそれも小さく見えてしまう。


「梨奈。」


びくりと。肩を上げたその後ろ姿がゆっくり振り返って、酷く弱々しい瞳が俺を映した。


「っ…、健、ちゃん…。」


俺の名前を呼ぶ声は掠れていて。少し近付いてみれば目だって真っ赤に腫れている。

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