それぞれの一週間【完】
浮気という嫌な言葉が頭を独占して。結城くんが帰ってくるのをひたすら待った。
いつの間にか寝てしまっていたようで。おまけに夢まで見た。
温かい大きな手が私の前髪を払って頬を撫でる。優しい声が私の名前を呼ぶんだ。
「…お、みお、」
ほら、聞こえる……。
酷くリアルに。あれ、リアル?
「澪起きないと襲うよ。」
「っ…!」
バチッと瞼を上げれば、ぼやけて見える意地悪な笑顔。
それはどんどん鮮明になって、ソファの横に座って私の顔をマジマジと見つめる愛しい人。
「ゆ、うきくん…?」
「ん。ただいま。」
待ちわびたその人が、今私の目の前にいる。
ゆっくりと起き上がり時計を見ればPM 10:58
あれから1時間以上は外にいたらしい。
ねえ、結城くん。今までどこにいたの?仕事じゃないよね?一緒にいた女の人はダレ?
私のこと、どうでもよくなった?
なんて。意地っ張りな私は思ってることを言うことも聞くこともできずにいた。