それぞれの一週間【完】
side:結城
「あら結城くんお久しぶりです。」
「こんばんは。」
――俺は仕事終わりに一人、友人の姉が経営しているジュエリーショップに来ていた。
理由は勿論、今頃部屋で寂しがりのくせに意地を張って寂しいとは言わない、俺の大切な彼女をプロポーズするための指輪を購入しに来たのだ。
店の外見からして、置いてある物の値段がどれほどなのか想像するのは容易い。
雑誌やテレビでよく取り上げられるこのショップは、高くて有名なのだ。
店内に入った俺に声をかけてきたのは、その友人の姉、由菜さん。小学校からの知り合いだから勿論お互いのことは知っている。
「今日はどうしたの?」
「ああ、ちょっと…、」
゙婚約指輪を買いに来ました。゙
俺がそう言って微笑むと、一瞬吃驚したように目を見開いた由菜さん。
だがすぐに目を細め、グロスが綺麗にのる唇で弧を描いた。