それぞれの一週間【完】
「おめでとう。残念だわあ、結城くん狙ってたのに。」
「っはは、冗談。由菜さん有川さんがいるじゃないですか。」
にやっと妖艶に笑う彼女には有川さんという政治家の旦那さんがいる。
「私本気よー」なんてお茶目に言ってのけた彼女は近くにいた店員さんの名を呼ぶと、手招きした。
「弟の友達なの。婚約指輪をお探しだから、お願いね。」
「あ、由夜くんの…。結城さん、ですね。」
「(何で知ってんだろ…?)」
由菜さんに呼ばれて俺達に近寄ってきたのは、150あるか位の身長の女の子。俺より若いし、童顔なその顔で俺を見上げる。
話を聞いていれば、彼女は大学で俺の友人(由夜)と知り合った白石さんという名らしい。
俺を知っているのは、由夜が俺の話をよくするらしいからで。高校時代の不名誉な話まで知っていた。
次会ったとき覚えてろと苦笑いの中に隠して拳を握ったのは誰も知らない。