それぞれの一週間【完】
由菜さんは、俺と白石さんが挨拶を交わすのを見届けると、先に職場を後にした。今日は有川さんと食事らしい。
白石さんは「羨ましいです」と微笑むと、大きなガラスケースの前に案内してくれる。
「気になる物があったら言って下さいね。」
「ありがとう。」
綺麗に会釈をすると、彼女は一旦店の奥に消えた。
さて、と……。どんなのがいいだろう。
ガラスケースの下にあるのはシンプルな物から豪華な物まで、形、値段様々な指輪達。
視線を右から左へ流すように見ていってれば、奥から白石さんが駆け寄ってきた。
「すみません。えっと、何かお気に召すもの、ありましたか?」
「よく分かりませんね…。」
俺がそう言って苦笑いを浮かべると、白石さんはふふっと口元を緩ませた。
「……プロポーズなさるんですよね?結城さんが彼女さんに似合うと思われた物なら、彼女さんはお喜びになると思いますよ。」