それぞれの一週間【完】
視線を泳がせる中で、一つ。
「…これ、いいですか?」
ガラスケースを人差し指でコンコンと叩く。その下にある指輪を白石さんはゆっくり取り出してくれ、俺の前に置いてくれた。
「お手に取ってご覧下さい」と、言ってくれたので、遠慮なく手にとって見てみる。
俺が手にする指輪は、ラインが二本彫られているシンプルな物だが澪が好きそうだと直感的に感じた。
「そちらのデザイナーの指輪は他にもありますよ。」
白石さんは、しゃがみ込んで何かを探してすぐに立ち上がる。
手には何枚かのチラシのような紙を手にしている。
「こちらや…こちら、ですね。」
「へえ…綺麗ですね。他のと違う感じで。」
「私もこちらのデザイナーの作品が好きなのですが…何しろお値段が張るもので。」
そう言われて白石さんが指をさしてくれている指輪の下の値段を見ると。