それぞれの一週間【完】
それに、呼んでみただけって言えば。
「あっそ」だって。
吾妻くんだいすき。
――いつも通り、私の家まで送ってくれて。先程まで繋いでいた手がゆっくりと離される。
この瞬間……、嫌いだなあ。
だだをこねるような幼稚なことは出来ないので。吾妻くんを見上げて目で伝えようと試みた。
そしたら、さ。
「ん?どうした萌。」
なーんて。甘い声で微笑んで囁くから。
今日は私が負けちゃったじゃん。本当は、吾妻くんに私を好きだって言わせるつもりだったのに。
その顔、反則だよ…。
ぐっと制服のカッターシャツの襟元を勢いよく引っ張れば、「うわっ…、」って驚いたような声。
私の顔の前まで吾妻くんの顔を近付けると、にっこり笑って見せた。
「吾妻くん、好き。」
「っ…!」
目を見開いたと思えば、次の瞬間には一気に頬を赤く染める吾妻くんが可愛くて。
「好き。大好き。」
もう一回言ってやった。