それぞれの一週間【完】
8の横に0が…、5つ。
確かに、高いだろうなと俺は笑った。まあ金は気にしないし、言ってしまえば腐るほどあったりする。
かと言って、澪に送るものを親の金では絶対に買いたくはない。俺が教師をしながら稼いだ金でだ。だから、プロポーズするのにここまでかかってしまったのだが。
「…これ、もそうですよね。」
「あ、はい。そうですよ。」
チラシの一番左下。
目立たないくらいの位置にあったのは同じデザイナーの作品。
人気のある指輪は中心にでかでかと宣伝されているから、あまり人気はないのかもしれない。
ま。俺的には好都合。
白石さんは「こちら気になりますか」と微笑んで問いかけてくれた。「そうですね」と小さく頷けば、
「在庫があるかもしれませんので、少々しお待ち下さい。」
と。また店の奥に小走りで駆けて行く。