それぞれの一週間【完】
在庫を確認しに行ってくれた指輪はさっきよりも20万ほど値段は上がるが、一番ピンと来た指輪だ。
今度はネックレスなどを見ていれば、俺のスーツのズボンで震える携帯。
手に取り、二つ折りのそれを開けば――――俺の愛しい彼女さんの名前。
ふっと緩んでしまった頬を咳払いで引き上げ、通話ボタンを押した。
「もしもし澪?」
“結城くん?うん私。”
澪の声は少し焦りが感じられ、俺がまだ帰れないと伝えれば。やっぱり残念そうに声のトーンを下げた。
からかえば、ちょっと拗ねたけど。虐めて、嗚呼、可愛いなあ、なんて。俺はサディストなんだろうか。
「お待たせしました。」
電話越しに小さく笑っていると、俺に向かってかけられた声。
それは勿論白石さんで。ぺこりと頭を下げ、少し耳元から携帯を離す。
彼女の手には、小さな箱が持たれており。俺の前でそれを開けガラスケースの上に置く。