それぞれの一週間【完】
そう言った白石さんの左手の薬指に、シンプルだが可愛らしい指輪があることに今気づいた。
「彼氏から、ですか。」
「あ、はい。私ももうすぐ結婚するんです。」
「おめでとうございます。」
「ありがとうございます。結城さんも、ですね。」
少し頬を赤らめて照れたように笑う白石さんは、この指輪を送った彼氏を思い出しているのであろう。
俺も部屋にいる澪を思うと、頬の力は緩みにやけ顔と…。何とも情けない。
「彼女さんは、どんな方なのですか?」
「…意地っ張りの泣き虫です。まあ…、可愛くて仕方ないんですけどね。」
「とても愛されているんですね。指輪ご覧になられたら、きっと泣いちゃいますね。」
にっこり笑った白石さんに俺も微笑みを返す。
もう一度ガラスケースの中にある指輪達に目を移し、頭には澪を思い浮かべた。