それぞれの一週間【完】
名前が彫りあがり、それを濃紺のケースに入れてもらう。
支払いはゴールドカードで。白石さんは小さな紙袋を俺に渡してくれ、綺麗にお辞儀をした。
「次は是非、結婚指輪を。」
「はは、その時はよろしくお願いします。」
ショップを出たのは、澪から電話があってから数十分。澪が待つアパートに帰るまでにはまだ時間がかかる。
俺は駐車場に止めてある自身の車に急いで乗り込むと、自宅へと急ぐ。
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今、俺ば結城゙と書かれた表札がかかる、ドアの前にいる。
この奥に、俺の愛しい子が待っているんだと思えば、早くこれを渡したくて仕方ない。
小さい紙袋から濃紺のケースを取り出すと、スーツのポケットにしまう。
さて、俺の彼女さんは
何をして俺の帰りを待っているだろうか。
眠っていた彼女は白石さんとの会話を電話越しに聞いて色々誤解してた。
馬鹿だよ。俺はこんなに澪しか見えてないのに――。指輪を見た彼女の目からはやっぱり、大粒の雫が溢れ出した。
《意地っ張りな君に贈る 。》
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