それぞれの一週間【完】


先輩はふはっ、と吹き出すように笑うと悪戯に口元に微笑を浮かべ



「俺肉じゃが好き。お邪魔させて。」

「……はい。」



――…お見通し、だ。


私が先輩の好物の肉じゃがを作るときは、゙晩ご飯のお誘い゙の合図。


甘える、ってことに関して下手くそな私はそれをはっきり言葉にできない。甘え方なんて…、知らない。



「俺、講義で遅くなるから。美味しいの作って待っててな。」

「(…プレッシャー)頑張ります。」

「よろしく。」



にっこりと笑った先輩は私が着替えるのを待つ間食器を洗ってくれていて、お礼を告げると「いいえ」とまた笑ってくれた。


それから先輩の車に乗り込み二人で大学へ向かう。

< 58 / 151 >

この作品をシェア

pagetop