それぞれの一週間【完】
どんどん頬を真っ赤にする吾妻くんにクスクス笑えば、襟元を掴む私の手首を包む大きな手。
「笑うな。」
「ごめんね。」
まだ少し赤い頬を隠すようにもう片方の手で私の目をそっと覆う。
突然暗くなる視界に、ちょっとー!と不満げに言えば、笑った罰だと鼻であしらわれてしまった。
「萌。俺とクラスの奴等どっちがいいの。」
「…何言ってんの。イキナリ。」
「イキナリじゃない。ずっと思ってた。」
……吾妻くんの手で彼の顔は見えないけど。声はか細くて弱々しい。
吾妻くんは、バカ。
「吾妻くんはどう思うの?」
「どうって……、」
「私が吾妻くんとクラスの男子達。どっちが大切だと思ってるの?」
「……。」
息を殺すように黙ってしまった吾妻くん。
生暖かい風が私の髪を揺らす。蝉の鳴き声がしてきて、どこからか美味しそうな夕飯の匂いもする。
「…ごめん。」
呟くように謝る吾妻くんは、私から数歩離れる。