それぞれの一週間【完】


「なんで、泣くの?」


先輩の、少し戸惑いがかかった声が私の耳に届く。私は掌で温かいそれを拭い、何でもないと首を振る。


が。

そんなので先輩が「ああ、そうですか」なんて言うわけがない。



ガタンと音をたて、先輩が席を立つのが分かる。ゆっくり、ゆっくり。先輩が私に近寄ってくるのが分かる。


すっと、先輩の冷たい手が、指が、私の頬を優しく包み込む。そのまま顔を持ち上げられ視線が絡み合う。



「なんで、泣いてるの?」

「…泣いて、ません。」

「嘘ツキ。」

「…、」



先輩はふっ、と優しく笑うと。次の瞬間には重なるだけの口づけを落とした。


突然のそれにびっくりして、私の脳は思考停止。

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