それぞれの一週間【完】
side:倉橋
「だから違うって。」
「……うざ。」
…ちょっとちょっと遠藤さん。俺、今キレられること言ってないと思うんだけど。
攻めに攻め、鈍感な遠藤と晴れて恋人同士へと昇格した俺は、只今、二人きりの教室で遠藤に勉強を教えている。
の、だが。
「あ、そこに問1を代入するんだよ。」
「は、…こう、か?」
「その計算式じゃさっきと同じだろ。違うってば。」
「……。」
ボキッと遠藤の持つシャーペンの芯が折れる。力み過ぎ。
空気で遠藤の苛々が感じられるほど、遠藤の顔も眉間に深い皺ができている。
セミロングのさらさらな黒髪を鬱陶しいと言い一つに結び上げる遠藤。うなじが露出され、俺的には嬉しいような気もするが、実際困る。
「…(ガード緩くない?)」
遠藤からふわりと、シャンプーの香りがした。俺が遠藤を知ったのはこの香りから。