それぞれの一週間【完】
あの時はまだ遠藤のことを知らなくて。廊下ですれ違った遠藤からシャンプーの匂いがして、凄いいい香りだから印象的だった。
新学年になって、またあの香りがしたからすぐに遠藤だって気付いたんだ。
そっからは、すぐ好きになった。香りから、なんて言ったら彼女は怒るだろうけど。
勿論、遠藤の性格とか、全部好きなんだよ。
「…あ、」
「解けたじゃん。正解。」
苦手な問題がやっと解けた遠藤は、キラキラとした瞳で勢い良く俺の顔を見上げる。
「どう!私だって解けるのよ!」
……遠藤、見たことないくらい笑顔なんですけど。瞳すっげぇ輝いてるんですけど。めっちゃ可愛いんですけど。
「よかったね。」
「うん!」
「(馬鹿正直、ていうのかな…?)」
自分の気持ちに素直だね遠藤。顔にすぐ出てるよ。
「倉橋、」
「んー?なに?」
遠藤は一度俯くと、チラッと俺を見上げる。その顔が紅潮していたから、俺の動きも止まる。