boyshな女の子


《輝side》




その男は外見や服装から20代前半ぐらいで、大学生のように思えた。




俺が男の観察をしていると、おもむろに矢川が男の目の前にしゃがみこんだ。


すると最初は挙動不審だった男も、矢川(忘れがちだが女)の姿を見て気が抜けたのか、なめたような顔つきになった。




矢川がそんなことに気が付かないわけが無い。


なのになんでも無いかのように、口を開く。




「嘘吐いたら殴るから。そのつもりで答えろ」




矢川にしては珍しく優しい声。


それの持つ意味………それを知らない男は踏んでしまった。




「何でお前なんかにそんなこと言われなきゃなんねぇんだよ」




ーーー地雷のスイッチを。




矢川は無言のまま立ち上がるとその男を掴んで外に引きずり出した。





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