boyshな女の子
「誰に許可とって俺に触ってんだよ、てめぇ!!」
人を小馬鹿にしたような笑い。
「凪の横で五月蝿くしたくないんでね。ーーーさてと、」
廊下に出てドアを閉めると改めて矢川は男に向き直った。
若干話が噛み合っていないが矢川は気にしていないようだ。
「お前は凪に何をした?」
あくまでも静かな声。
そのせいで余計に矢川が怖い。
「どうせ何をしたかなんて尋ねなくても分かってんだろ?? ヤろうとしたんだよ! 未遂に終わったけどな」
開き直ったのか、馬鹿にしたいのか、怒らせたいのか……よく分からないが人を不快にさせる態度と声で男は話す。
お気楽人間の俺でさえもここまで怒らせるんだ。
矢川の頭が今どうなっているのか俺には想像つかない。
「あんな可愛い奴が酔っ払ってフラフラ歩いてるんだぜ? それに誘ってきたのはあっちなんだ。 それにのって何が悪い!?」
それが決め手だった。
ヒュッと風を切る音と共に、男の顔に矢川の右手がめり込んだ。