boyshな女の子
バキィッ……!
男は衝撃に耐えきれず後ろの壁に勢いよくぶつかる。
「グゥッ!」と情けない声が男の口から出たが、そんなことは気にも留めない矢川はすぐにその男に近付き胸倉を掴んで引き寄せた。
「もう一回言ってみろよ? 凪が何をしたって??」
男は今まで焦点が定まっていなかったが、矢川の声に我に帰ったようだった。
「さっきまでの饒舌は何処に消えたんだ? なぁ?」
「……………」
あくまで沈黙を貫き通す男。
(いや……違うな)
恐怖で口すらも動かせないんだ。
今頃矢川の恐ろしさに気付いたらしい。
もう手遅れとなってしまったが……。
何故なら、こうなってしまった矢川は俺でも止められないから。