boyshな女の子
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「位置に着いてヨーイ……パンッ!!」
鼓膜にひびく音がすると同時にスタートラインから勢いよく人が飛び出る。
「ほぇ~……美紀ちゃんって意外に速いんだねぇ……」
「……確かに……」
物凄い速さで走っていく、凪の友達の後ろ姿を見ながら感想を述べる。
あれは8秒を確実にきっている。
始業式から10日が過ぎやっと新しい環境に慣れてきた。
ということで今は1学期恒例のスポーツテストを行っている真っ最中だ。
「次は華鈴の番だよね、頑張って!」
「50m走とかかったるい……ボイコットしようかな……」
座り込んだままの俺を隣に座っていた凪が叩く。
「このままだと輝との賭けに負けちゃうよ?」
その凪の言葉に今朝の出来事を思い出して項垂れる。
「そういや、そうだった……」