boyshな女の子
ただでさえ(泣いてしまいそうなのが)不本意なのに、その泣き顔を誰かに晒すなんて………。
絶対に無理だ。
俺はこの場から逃げてしまいたい一心で一方的に「帰る」と告げ、勢い良く椅子から立ち上がった。
その反動で椅子が後ろに倒れて煩い音をたてたが、そんなものを直していられるほど余裕が無かった。
倒れた椅子はそのままにして扉に全速力で向かう。
━━━━━が、思いっきりつんのめった。
なんとかこけそうになったのを堪えて踏み止まり、何事かと振り返ると水城が目一杯体をベッドから乗り出して俺の腕を掴んでいるのが視界に映った。
それを認識した次の瞬間とても強い力で引っ張られた。
俺は水城がそんな行動に出るとは思いもしなかったので、完全に虚をつかれ水城に倒れこんでしまった。