boyshな女の子




「……いいわけねぇだろ」




水城は溜息を吐くとボソリと何かを言った。


微かに聞きとれた言葉は「こっちは9年待ってたつーのに……」だった。




何故かは知らないけど、9年に反応する。




(………どこかで聞いたような……?)




それはいつだったっけ……?




水城のことを見て思い出す。




それは、“水城が入院してた時”。




水城は何気なく呟いた後ハッとしたように言い直したんだ。


まるで、そんなこと口に出していないかのように。




そして、9年で思い出すことと言ったら俺が度々見る昔の夢。


そしていなくなってしまった男の子。


確かあの子がいなくなったのは9年前————







< 235 / 470 >

この作品をシェア

pagetop