boyshな女の子
「……いいわけねぇだろ」
水城は溜息を吐くとボソリと何かを言った。
微かに聞きとれた言葉は「こっちは9年待ってたつーのに……」だった。
何故かは知らないけど、9年に反応する。
(………どこかで聞いたような……?)
それはいつだったっけ……?
水城のことを見て思い出す。
それは、“水城が入院してた時”。
水城は何気なく呟いた後ハッとしたように言い直したんだ。
まるで、そんなこと口に出していないかのように。
そして、9年で思い出すことと言ったら俺が度々見る昔の夢。
そしていなくなってしまった男の子。
確かあの子がいなくなったのは9年前————