boyshな女の子
「いいものがありますよ」
古典のおじいちゃん先生が俺に渡してきたのは真新しい一本のチョーク。
「先生…これは大事なものなのでは!?」
「いえ……大事なものですが、佐野君を起こすことより大事なことはありません」
それに、と先生が付け足す。
「チョークも黒板に毎日毎日字を書く生活なんて飽き飽きしていたでしょうから」
「先生っ…!!」
「…… 何この茶番」
後ろの子が何か呟いたけどそんなことは気にしない。
もう、教科書なんてどうでもよかった。
「では…」
こほんと咳払いしてからチョークを手に持ち構えると、俺から輝の席までの間の人たちが一斉に体を引いた。
————狙いは茶色い頭。
俺が投げたチョークはターゲットにあたって、砕けた。
「よっしゃ!」
ガッツポーズを決めるとクラスから拍手と爆笑が湧き上がる。
輝と言えば、頭に手をやって手についた白い粉を見て驚愕していた。
「Mission completed!!」
決めてから俺は黒板に向き合う。
さぁ、授業に集中しますか。