boyshな女の子
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「ここか……?」
俺は手元のメモと目の前のプレートを見比べる。
608…『水城』で間違いない。
「あいつこんな近くに住んでたのか…」
時は放課後。
俺は水城の家の前にきていた。
何故こんなとこにいるかって?
輝から水城が熱で倒れたと聞いたからだった。
しかも、かれこれもう3日も学校に来ていないという。
「……やっぱ帰った方がいいかな」
風邪引いてんのに誰かに押しかけられんのやだろーし。
手に持っていたビニール袋を見ながらそう考える。
中にはさっき買ってきたポカリと熱さまし用のシートが入っている。
「何で気まずいとか思ってんのにここまで来てんだろ…」
ボヤきながら踵を返す。
と、エレベーターが登ってくるのが視界に入った。
しかもそれは俺がいる階で止まった。
その後はもう反射だったとしか言いようがない。
俺は咄嗟に、水城の部屋の奥にある通路に隠れてしまった。