boyshな女の子
気付けば俺は華鈴の腕を掴んでいた。
「思った以上に弱ってるみたいだな……」
そう呟いてそっと華鈴から手を離す。
「帰るんならあそこの鍵使って戸締まりしてって。 ポストにいれといてくれればいいから」
机の上に無造作に置いてあった鍵を指差しながら布団に潜る。
——今日の俺はらしくない。
帰っていいよって言ったのに、帰るなとか思ってるぐらいなんだ、今回の風邪はかなり重症化したらしい。
はぁーと溜息をついてからドアの閉まる音がしてないことに気が付く。
布団を跳ね除けるとそこにはまだ華鈴がいた。
「帰るんじゃ……?」
「なんか気になることがあったからもうちょっと留まろうかと」
別にいいだろ?と強気で聞いてくる華鈴に対して苦笑が漏れる。
いや、華鈴に対してじゃないな。
「……で、気になることって?」
いつもの風を装って聞く。
「……えぇっと」
途端に歯切れ悪くなる華鈴。
どうせ、
「俺の家にいた2人のことが気になるんだろ?」