boyshな女の子
「もう大丈夫だから、早く帰れ。 母親にまた叱られんぞ」
そうだった!と叫ぶと慌ててバックをひっつかむ。
俺は玄関まで送って行く。
本当は家まで送ってやりたかったけど、華鈴がそれを許すはずもない。
「そうだ……」
「何?」
華鈴が靴を履きながらこっちを見る。
「龍には絶対近付くな」
一瞬目を瞬かせて口を開く。
「……難しいよ、それは。 今の立場じゃそんな我儘言えない」
言いながら立ち上がる華鈴が腹立たしくて、歩き出そうとした華鈴の腕を掴む。
俺がどんな気持ちで言ってるのか知らないで……。
驚いた顔にそのままキスする。
「あいつ手早いから気を付けろ」
「でも龍は……俺が女だって知らな「口答えすんな」…はい」
いい返事。ともう一度キスをする。
華鈴は間髪いれずに殴りにきた。
が、予想していたことだったのでヒョイと避ける。
反動で手を離した一瞬の隙に華鈴はそのまま走って行ったがエレベーターの前で振り向く。
「お大事に!!」
キスした時の顔のまま叫んでそのままエレベーターに乗り込んでいった。
「あいつ顔真っ赤じゃん」
俺は部屋に戻ってクスッと笑う。
あんなことしても前より怒らなくなった。
それは俺に対して心を開いてくれてる証拠になるのか?
「早く好きになってくれよ……」
俺はベッドに潜り込みながら、ただ一つの願いを呟いた。