Love&CocktailⅡ
「じゃあ一度だけ…一度だけで良いんです…。抱いて下さい……」
女は上目遣いで俺を見ると、腕に自分の胸を押し付けてきた。
俺は再び溜め息を吐く。
抱けだって?
ふざけてんのか、この女は。
「触らないでくれるかな」
「えっ……」
俺は絡まれている腕を取り払った。
「君さ…仮に俺が頷いていたとして……罪悪感も何もないの?結婚してるって分かってるハズなのになんでこんなことしてくるの?」
「そ、それはっ!!長谷川課長のことが好きだから……」
「本気で好きでいてくれるなら身を引いてくれよ。迷惑だ」
俺は鋭い目付きで彼女を見る。
どいつもこいつも…。
いい加減にしてくれよ。
「そんなに遊びたいんだったら他当たってくれよ。俺は奥さんしか大事にしない。何があっても」
彼女は泣きながら俺を見る。
謝ったりなんかしない。
別に俺は何もしていないから。