Love&CocktailⅡ
「乃愛、誰かから何か聞いたのか?」
「き、聞いてないよっ…。あっ、終わったね!早くTV見よ……」
乃愛は手に付いた泡を洗い流し、キッチンから出ようとする。
――グイッ!
俺は素早く乃愛の細い手首を掴み、自分の元に引き戻した。
「ひゃっ…ゆ、優人さん……?」
乃愛は大きな瞳をパチパチさせながら俺を見上げる。
「乃愛、何か聞いたんだよな?俺が言い寄られてるって」
「……っ…」
乃愛は眉を下げ、視線を泳がせる。
「乃愛」
俺は乃愛の肩をグッと掴んだ。
「ん……」
加減はしたつもりだったけど、乃愛は少し痛そうに顔をしかめた。
でも、俺は力を緩めてやることは出来なかった。