月夜の天使
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「私、男の人に生まれたかったなぁ」
「瑞樹、『天使の泉』ってあったよね?」
占いの館に訪れた半年後の今、18歳になった加奈と16歳の瑞樹は満月に照らされ、公園のベンチに座っていた。
「そこで言われたの。私は男性に生まれるはずだったって。お母さんは女の子の私を望んでなかった。ねぇ、瑞樹、私・・・間違ったのかな?」
パタパタと涙がつたう。
自分の顔が情けなくて瑞樹の顔を見られない。
「加奈は間違ってないよ」
瑞樹の声がしんと静まり返った公園に優しく響いた。
「母さんはちゃんと加奈を愛してるし、加奈は女性として生まれたことにちゃんと意味がある」
「ほんとにそう思う?」
「加奈って泣くとかわいいね」
「瑞樹!真剣に聞いてるのに、からかわないで」
「あはは、ごめん」
瑞樹がふわりと笑う。
やっぱり瑞樹の笑顔は天使だ。
瑞樹の柔らかな髪が、秋の夜風に吹かれてサラサラと音をたてる。
「瑞樹、来てくれてありがと。瑞樹はいつも助けてもらってる」
「加奈のためなら、どこへでも。加奈が僕を探せば、僕はどこへでも飛んで行くよ」
なんでもわかってくれる瑞樹。
瑞樹といると、母の冷たい顔や、つらかった事を全て忘れることができた。
今夜はもう少し、瑞樹といたい。
「瑞樹、もう少しだけつきあって」
「いいよ。甘えんぼの姉さん」
瑞樹がいたずらっぽく笑った。
瑞樹の笑顔が好き。
加奈の胸がチクリと、痛んだ。
「私、男の人に生まれたかったなぁ」
「瑞樹、『天使の泉』ってあったよね?」
占いの館に訪れた半年後の今、18歳になった加奈と16歳の瑞樹は満月に照らされ、公園のベンチに座っていた。
「そこで言われたの。私は男性に生まれるはずだったって。お母さんは女の子の私を望んでなかった。ねぇ、瑞樹、私・・・間違ったのかな?」
パタパタと涙がつたう。
自分の顔が情けなくて瑞樹の顔を見られない。
「加奈は間違ってないよ」
瑞樹の声がしんと静まり返った公園に優しく響いた。
「母さんはちゃんと加奈を愛してるし、加奈は女性として生まれたことにちゃんと意味がある」
「ほんとにそう思う?」
「加奈って泣くとかわいいね」
「瑞樹!真剣に聞いてるのに、からかわないで」
「あはは、ごめん」
瑞樹がふわりと笑う。
やっぱり瑞樹の笑顔は天使だ。
瑞樹の柔らかな髪が、秋の夜風に吹かれてサラサラと音をたてる。
「瑞樹、来てくれてありがと。瑞樹はいつも助けてもらってる」
「加奈のためなら、どこへでも。加奈が僕を探せば、僕はどこへでも飛んで行くよ」
なんでもわかってくれる瑞樹。
瑞樹といると、母の冷たい顔や、つらかった事を全て忘れることができた。
今夜はもう少し、瑞樹といたい。
「瑞樹、もう少しだけつきあって」
「いいよ。甘えんぼの姉さん」
瑞樹がいたずらっぽく笑った。
瑞樹の笑顔が好き。
加奈の胸がチクリと、痛んだ。