月夜の天使
「瑞樹くん!その傷どうしたの!?」

清香が驚いて瑞樹に駆け寄ってきた。

「カラスにかすられちゃって」

瑞樹が大丈夫と言うように微笑む。

「美少年の顔に傷つけるなんて、なに考えてんだ!そのカラスは!!私、薬もらってくる!」

「清香、ありがとう!」

加奈は清香の後ろ姿を見送りながら、瑞樹に問いかけた。

「あのカラスは、カインの一族ね?」

「うん、正確に言うと、カインの一族に操られたカラス、だね」

「カラスまで襲ってくるなんて、どうしたらいいのよ」

加奈は深いため息をついた。

十夜が私に近寄りささやく。

「加奈、これからは校内でも危険かもしれない・・・」

「え?」

加奈は十夜の突然の忠告に驚いて目を見開いた。

「今まで奴らは人目につくところでは襲ってこなかった。夜とは言え、今回は校内だ。ついに最終手段にでてきたのか、それとも・・・敵は、校内にいるか、だ」

校内に、敵がいる・・・!

「鳥を操るということは、今までのような実体のない連中じゃない。正真正銘、実体をもって生まれた血統書付きの一族さ」

血統書付きの一族・・・!!

「加奈、大丈夫だ。学校には俺も瑞樹もいるだろ?」

十夜の言葉、力強いよ。

「加奈、加奈は何も心配しなくていい」

瑞樹、あなたの優しさに救われる。

「うん、ありがとう。二人とも。私、二人がいれば何も怖くないよ!」
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